関与させて頂いている建設業者様、お知り合いの弁護士先生、税理士先生など様々ところから頂くご質問で
・発注者:A、受注者:B、複数の物件(場所)に対する工事があり、工期も少しずれる。発注を同時にすると建設業法の基準金額(500万円)をこえるのですが、これは発注をバラバラにして契約書を、2枚にすれば、それぞれが別々の工事となるのでしょうか?
というような内容のものがあります。
その2つの工事は本当に2つの工事か?それとも1つのまとまった工事か?
例えばですが、とある商業施設ビルの内装リニューアル工事の一環で行われる、電気工事を考えると、1階から最上階までの各テナントの電気工事は1社が単独で発注者(元請け業者さん)から請け負っているのですが、工期が「4月~9月」というようならず、内装工事の進捗関係で当該電気工事の工期がそれぞれ、「1階は4-5月」「2階は8-9月」となっている場合、それは別の(2つの)工事と考えてもよいでしょうか?それとも1つの工事と考えた方がよいのでしょうか?聞かれると……
「基本は契約書ベース(契約書が2枚なら2つの工事ということ)にはなりますし、ケース・バイ・ケースにはなりますが、1つの工事とみなされる場合が多いと思います」とお答えをします。
別々の工事とされるには「それ相応の合理的な理由」があることが必要とされます。
裏にある事情(上記のような場合の工事をバラバラに契約する必要性)は表からは見えずらく、やはりバラバラに契約をしてしますと、そこに何らかの「作為」を感じ取ってしまうのが、行政庁であり、何かの際に問題になった時はきちんとした理由を述べられるようになっていないとまずいと思います。
分離発注は基本ご法度です
上記のような例が問題になるのはなぜかというと「作為的に工事を分離発注して1つの工事の請負代金を500万円未満として、建設業法の適用を免れようとすることがある」からです。
1つの工事の発注を作為的に2つに分けて発注をして、1つずつの契約金額の単価を下げる方法以外にも、「材料費を別建てで契約する」「工期を分けて別発注(別契約)」するなどは、「許可逃れ」の為に使い古された、古典的な手法であるので、禁止されております。お役所も散々そのような事例を見てきているので、「お見通しです」となっております。
「1つの工事で・消費税材料費込みで500万円をこえる金額の工事を受注する場合は」きちんと業法にのっとり、許可を取って営業をしましょう
参考文献(北陸地方整備局発行「建設業者のための建設業法」より)