法人・企業というのはやはり「人の集合体」である以上、どうしても「役員・社員の出入り」というものが出てしまいます。しかし、こと建設業許可業者様におかれましては、どうしても、「こいつとはもうやってられない!」という人でも「家の都合でどうしても辞めざるを得ず」という人でも、何とかして残って頂かなければならない役職の人材がいるのです。それを知ってか知らずか何かの拍子に(決算変更届の前や、時には5年に一度の許可の更新の前などに)「え??もうアイツ辞めちゃってんだよ・・・」という衝撃の事実を知らされることが、たまにございます。
専任技術者は必置の役職です
建設業許可において、「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の二人(一人二役でも可)は欠かすことの出来ない存在であり、例えばですが、前任の専任技術者が3月30日で退職してしまっているのに、新しい技術者は4月1日にならないと入社してこない・・・というケースでは3月31日という「専任技術者不在の日」が出来てしまうため、この時点で(3月30日時点で)「廃業」ということになってしまいます。(経営業務の管理責任者が辞めてしまった場合(経営業務の管理責任者=取締役なので、正確には「辞任」若しくは「退任」(解任・・ということも?)ということになります)も同様です)
専任技術者が辞めてしまった場合の対処法
【事例】
・某県知事許可
・許可取得当時の専任技術者:一級建築士(許可業種:(建)(大)(屋)(タ)(鋼)(内)
・その後技術者の方が一級建築士→二級建築士→10年実務経験者の変遷を辿る
【専任技術者交代の必要書類】
専任技術者の方がお辞めになるなどの場合における届出は、変更があった日から2週間以内に「専任技術者の交代の届出」を変更後2週間以内に提出をしなければなりません。その際の提出物は東京都の例ですと下記の書類になります。
- 二十二号の二変更届出書(第一面)
- 別紙④ 専任技術者一覧表
更に新任の専任技術者については、
- 常勤資料としてしての「住民票」と「保険証の写し」
- 技術者の要件を確認する資料として「合格証」「免許証」や実務経験の場合は「第九号様式」とその裏付けとなる契約書・注文書・請求書+入金確認資料としての通帳原本なども必要となります。
又、前任の技術者に関しても
- 交代後も会社には在籍している場合:健康保険証
- 交代後に会社を退職している場合:健康保険の資格喪失届
等も提出を求められ、前任者→新任の専任技術者の間に「1日も空白の期間が無いこと」を確認されます。
もしもですが、現在の専任技術者が3月30日に急にお亡くなりになってしまい、後任の技術者の方を4月1日から雇用をしたとしても、3月31日に会社に専任技術者の存在が無いので、許可要件を欠いてしまうこととなるので、この場合は30日以内に「廃業の届出」をしなければなりません。
【事例の会社様の場合のお手続き】
一級建築士→二級建築士への変更時
この時は一級建築士の方と後任の二級建築士の方の在籍期間も被っていたので、慌てることもなく以下のお手続きを進めました。
一級建築士→二級建築士への変更届
鋼構造物工事業の「一部廃業」手続き(二級建築士の方専任技術者になった場合に取得できる業種が(建)(大)(屋)(タ)(内)のため)
二級建築士→10年実務経験者への変更
二級建築士の方がやむを得ず急遽退職するということになり(勿論円満退社です)、社内にも資格者がいらっしゃらないとのことで、最初は「資格者いなくなったから、建設業許可辞めないとダメだなー」と仰って電話を頂戴したのですが、社長の実務経験でメイン業務の「内装工事業」だけ残す選択をご提案して、社長様も「許可維持できるのか!」ホッとしていらっしゃいました。この時のお手続きも上記と同様になりますが、少し違うのが「社長は元々会社の経営業務の管理責任者で許可取得時にある程度実務経験(と同等の)証明をしていたことと、許可取得後にある程度の年数がたっていたので、その部分を足したものを「10年実務経験の証明」として添付したことです。
上記させて頂いた必要書類と事例は東京都と某(東京以外の)県ですが、専任技術者の変更の手続きに必要な書類及び取り扱いは、各許可行政庁によってまちまちです。弊所では北は青森から南は宮崎県まで全国対応もしており、各行政庁の所謂「ローカルルール」と言われる「まちまちのルール」への対応も慣れております。
専任技術者が辞める前に相談して下さい
しかし、専任技術者が辞めてしまったあとではもう「後の祭り」状態のことも多くあります。是非「辞める前」に一言ご相談頂けると、色々とご提案できるかと存じます。
また、やんごとなき事情で辞めてしまった後で「後任どうしよう。やはり廃業か?」とあきらめてしまう前にも是非ご相談下さい。貴社にベストな今後につながるご提案をさせて頂きます。