建設業許可取得で一番の困難が「経営管理体制(旧:経営業務の管理責任者)」と「専任技術者」の選出となります。それぞれ、どのような方が成れるのか・要件を満たすのかは細かい規定もありますが、
経営管理体制:5年間の「建設業を営んでいる(いた)会社での役員経験」が必要
専任技術者:要件を満たした資格を持っている。若しくは、10年間の申請業種(例えば内装工事や塗装工事など)での(現場)経験(10年実務経験)が必要
となります。
※ 専任技術者の10年実務経験は学歴によって5年若しくは3年に短縮される場合もあります
建設業許可申請においては過去の(実務)経験の証明が一番難しいです
建設業許可を取得する際に一番苦労をするのが、経営業務管理体制(旧経営業務の管理責任者)の「経営者としての経験」の証明と、専任技術者が資格者ではなく、「現場たたき上げの10年実務経験」で要件を満たそうとする際の、「その現場で積んだ実務経験」の証明です。
※ 令和2年10月より経営業務の管理責任者が条文上いなくなり経営業務の管理体制を置くということになっておりますので、このページでは多少違和感があると思いますが経営業務管理体制と言います。
経営業務管理体制や専任技術者になる予定の方が、「建設業許可を取得していた(いる)会社に、基準年数(3年、5年、10年等々)勤続している(いた)」という場合は比較的簡単なのですが、「許可はもっていないけど、建設業は30年以上やっていた会社に勤続15年です」等という場合は、証明に一手間も二手間もかかります。
建設業許可の実務経験は細切れでも大丈夫です
建設業許可申請時に必要となる過去の経験証明に要する資料の種類・内容や、そのボリューム(1年間の経験を証明するため、契約書などを何枚用意すればよいか?等です)は各許可行政庁によって異なるので、ここでは割愛しますが、全国共通で皆様が勘違いなさっているのが、「その10年とか5年、6年の経験年数は直近の連続した10年、5年、6年でなくてもよく、証明できるのならば、30年前からの2年と25年前からの3年・・・・と足し算で、所定の年数を満たせばOK。勿論、経験を積む会社は複数にまたがっていても大丈夫」という点です。
【複数業種の現場経験は重複は不可】
専任技術者の経験の数え方も、勿論、年数が飛び飛びでも大丈夫です。
例えばですが平成15年~平成17年迄と平成22年と平成26年~平成28年の2つの期間の経験を足し算することは可能です。
しかし、下図のような現場の経験期間の重複は認められておりません。Aの期間は塗装工事業若しくは防水工事業いずれか一つの業種の経験期間としか見てもらえません。つまり、塗装工事業と防水工事業の専任の技術者になろうとする場合は(勿論2つとも現場の実務経験10年をもってしての専任技術者)20年の現場での経験が必要となります。
証明さえできれば、経営業務の管理責任者の経験も専任技術者の実務経験も不連続且つ複数法人での経験の足し算でOKなのです。もちろん途中に自営業の経験があっても問題なし。
意外と皆様、このあたりを勘違いなさっていらっしゃる方が多いように思われますので、今一度ご自分、若しくは候補者の方々のご経歴を見直してみてはいかがでしょうか?
但し..これはもう致し方が無いことです、過去になればなるほど、証拠となる資料が集めずらくなるので、証明の困難度合いは増します。
建設業許可申請における経験年数の数え方の具体例
建設業許可申請のおける経営管理体制(旧経営業務の管理責任者)と専任技術者の実務経験のカウントの仕方は各自治体によってまちまちではありますが、ここでは東京都知事に則って数え方をご紹介します。
※ 経営の経験と技術の実務経験はその「経験に求められる内容」が厳密にいうと違いますがここでは同じと思って下さい。
参考ページ ➡ 東京都HP建設業許可 手引き、申請書類など
(手引きのP59、60、61を参照ください)
過去の経験の中に「建設業許可を持っている会社」での経験がある場合
【事案】
過去に建設業許可を持っていた(現在は持っていない)株式会社 T工務店で再度の建設業許可申請を検討 経営業務管理体制(旧経営業務の管理責任者)候補:Aさん 専任技術者候補:Bさん ㈱T工務店の建設業許可の状況:平成7年2月15日から平成22年8月19日(廃業)まで ※ 平成22年8月19日に「廃業届」を提出しております。→ 少し細かい規定になりますが、「廃業届の提出の有無」はこと東京都知事許可に関して言えばかなり重要になることに注意が必要です。 Aさんのご経歴:T工務店(建設業許可あり)で平成19年4月1日からずっと役員をしている。 平成19年3月以前は他の建設会社で役員経験あり。ただし、こちらの会社は建設業許可をもっていなかった。 Bさんのご経歴:平成5年4月より㈱T工務店に勤務 |
- 上記の事案で真っ先に確認しなければならないことは以下の3点になります
- T工務店の建設業許可の取得日と取得している建設業許可の業種を確認。
- Aさんのの経験証明の場合は役員歴を見るので登記簿謄本を取得して、Aさんの役員歴が上記の許可取得期間に収まっておりかつ5年以上あることを確認する。
- Bさんの年金記録照会回答票を年金事務所で取得して、㈱T工務店での勤務実績(入社日など)を確認する
Aさんの役員歴は平成19年4月1日~現在までなので、平成19年4月1日→平成22年8月19日までの3年4か月と19日に関しては、建設業許可を持っていた期間を証明する建設業許可通知書と役員期間を証明する登記簿謄本のみで「ケイカンとしての経験証明」は問題なく証明できます。しかし、後の1年8か月は下述する「建設業許可がない会社での証明手法」を使うこととなります
専任技術者:Bさんの実務経験の証明の場合は、まず初めにBさんがT工務店に5年なり10年なりきちんと常勤していたことを証明する必要があります。証明の仕方は通常一つしかなく、Bさんの基礎年金番号・生年月日などを確認した後に年金事務所で「年金記録照会回答票」というものを取得してBさんのT工務店在職期間を確認します。
こちらもBさんのT工務店の在職期間10年が10年以上あることを年金記録照会回答票で確認したうえで、その在職期間の1部でも平成7年2月15日から平成22年8月19日に収まっていなければその期間は経営業務管理体制と同じく「建設業許可がある会社での実務経験証明法」を使って証明することとなります。
専任技術者の「建設業許可がある会社での実務経験証明法」
専任技術者の方が取得した建設業の業種の許可を持っている会社に勤めている(勤めていた)場合の「実務経験証明」は以下の書面を揃えれば大丈夫です
- 許可期間を証明できる建設業許可通知書(及び許可申請書の副本など)
- 専任技術者本人の年金記録照会回答票
- 建設業許可申請様式第九号に該当期間の工事実績を記載したもの
以上の3点があれば「経験証明」に関して言えば大丈夫です(繰り返しになりますがあくまで「建設業許可をも持っている会社に勤務している場合の証明」です)
【建設業許可取得日と取得している業種の確認方法】
・確認したい会社様(上記の例でいうとT工務店)の過去の申請書や許可通知書をもらって確認をする。
・もし確認したい会社様が東京都知事許可ならば東京都新宿区にある東京都庁建設業課に行って許可番号・名称・所在地などをお伝えすれば、「許可の状況」として許可日やその当時に取得していた業種などを教えて頂くことができます。しかし、これは東京都知事許可だからであって他の自治体でも「許可会社の許可の状況を何の委任も受けていない人」に教えてくれるかというとそういう事ではありません。現に国土交通大臣許可の会社様の許可状況は関東地方整備局に問い合わせても教えてくれません。秋田県知事許可などは「開示請求をしてください」と言われますので、各自治体にお問い合わせください。
建設業許可なし会社での経験年数のカウントの仕方
所得希望業種:塗装工事業
経営業務管理体制:Aさん 専任技術者:Bさん 過去の経験を証明する会社:H塗装㈱(建設業許可なし)(設立:平成12年4月1日の設立以来塗装業を営む(主に下請け工事が多い)) |
AさんとBさんの役員歴や常勤の期間を確認する方法は「建設業許可あり会社」での証明方法と同じで、登記簿謄本や年金記録照会回答票で行います。問題はH塗装が許可を持っていないという点です。
許可を有している会社さんは、その許可を有効に有している期間については(取得しいる業種の)建設業を営んでいるものとみなされますが、建設業許可を持っていない会社さんは、客観的に書面により「自社が取得しようとする(建設業の)業種を、該当期間中営んでいたことを証明する」という方法を取らなければなりません。それでは具体的には何を用意すればよいのか。
・該当期間(3年・5年・10年)分の注文書(発注者の押印がありかつ記載内容から工事の内容がわかるもの。「〇〇邸工事一式」等はどのような工事をしているか分からず、業種の判定ができないので不可)
- 該当期間(3年・5年・10年)分の工事請負契約書(発注者の印鑑があり・・以下同上)
- 該当期間(3年・5年・10年)分の請求書+入金確認資料としての通帳原本(請求書に関しての記載内容に関しては上2つの場合と同じで、記載内容からやっている工事の業種の判定が出来るよことが必要です)
※ 建設業許可を持っていない会社様の過去の実績証明に必要とされる資料に関してはその内容、”量(=該当期間分の証明として必要とする契約書の枚数)”などが各行政庁によりかなり異なります。
「該当期間分」の定義がかなり異なります。例えば1年間の経験を証明するするの請求書を12枚/年用意しなければならない行政庁もありますし、1枚/年でよい行政庁もございます。(3年、5年、10年という期間に関しては法律で決まっているので変わりません)
例えば東京都で建設業許可申請をする場合は「実務経験を請求書などによって証明する場合は原則として1月1件で1か月分の経験とする」としているので、10年の経験を証明しようとすると単純に120枚の請求書等が必要となります。これに対して神奈川県でへ1年1枚で1年の経験とすることになっているので、(超大雑把委に単純に言ってですが)10枚の請求書で10年分の実務経験が証明できます(実務上は12枚くらい必要になりますが)
年数をカウントする時の「起算日」と「終点」を正確に!
過去の経験、3年~10年を証明する!と一口に言っても、「ではどこからどこまででカウントするのですか?」という疑問がわいてくると思います。
起算日と終点は請求書(契約書)の日付です
これも、行政庁によってまちまちで一概には言えないのですが、東京近辺の自治体では多くは「一番最初の年の一番最初の月の請求書(契約書)の日付から一番最後の年の一番最後の月の請求書の日付まででカウントする」というところが多いです。
ここで注意が必要なのは、一番最初の月の請求書の日付が「平成25年1月31日」とした時に、3年間をカウントしようとすると、「平成27年12月31日付の請求書」まで集めても3年間の要件を満たしていないと判断されます。一番最初の請求書が平成25年1月31日ならば3年間を証明するには平成28年1月30日以降の日付の入った請求書をそろえなければなりません。
つまり、3年間、5年間、10年間とは月単位で計算というよりも、本当に365日×3年、365日×5年というようにカウントすると思っていて頂いた方が良いです。(もっと地方に行くと、一番最初の月(上記の例でいうと平成25年1月)はカウントしない(「初月落とし」というらしいです)というルールのところもありますので、このような自治体の場合は3年の証明とはいえ、実務上は3年+2-3ヵ月以上は請求書を集めることになります)
過去の実績証明含めて建設業許可申請は中々難しいです
建設業許可申請において一番のネックとなるのはやはり経営管理体制と専任の技術者の必置義務です。その2つの役職の方の過去の経験を証明する作業は本当に経験を要し、かつ経験がある私たちでも細心の注意を払って進めます。
そして、経営管理体制・専任技術者が揃ってもそれ以外にも資産の要件だったり事務所の要件があり、更に許可申請をしようとすると本当に様々資料の取得・作成をしなければならず、なれないとかなりの時間と手間がかかります。
当事務所の特色
たんげそう行政書士・社会保険労務士事務所では2011年の開業以来建設業許可申請を主たる業務としてやらせて頂いてきており、本当に多くのお客様にかかわらせて頂いてきております。正直色々失敗もしましたが、今ではその失敗が糧になって、他の事務所では証明しきれなかった過去の実績を証明して許可取得をしたりしたことも1度や2度ではありません。
お客様から許可取得のご依頼を頂戴した際に、過去のご経歴が問題になる場合は受任をさせて頂く前に(着手金を頂戴する前に)、該当者の方に関する年金記録照会回答票や登記簿謄本を取得して許可の可否を判断させて頂いております。
※事前調査費33,0000円を頂戴しております。この金額は後日許可取得可能となって正式なご依頼を頂いた際は報酬に充当させせて頂いております。
事務所報酬
建設業許可申請はお客様のご状況によって、その難易度がかなり変わりますので、正確な料金はご面談後お客様のご状況を把握させて頂い後に正式なお見積りとして出させて頂きますが、標準的な報酬は下表のとおりとなっております。
項目 | 金 額(税込み) |
---|---|
建設業許可申請作成及び提出代行(事前相談など含む) | 165,000円~ |
実務経験証明手数料 | 33,000円~ |
建設業許可申請手数料(都や県に納めるお金) | 90,000円
(大臣許可の場合は150,000円です) |
住民票・登記簿謄本など(実費・概算、取得手数料込み) | 5,000円ほど |
郵送料金など雑費(実費・概算) | 3,000円ほど |
合 計 | 300,000円前後
(多くても350,000円ほど(知事許可の場合)) |
報酬額が適正?
弊所の報酬額が適正か?ネットで見ると「報酬一律〇万円」と言っている行政書士もいるけれど?
結果が同じなら安い方がいいに決まってるんだけど、もっと安くならない?
このようなことを仰っていただくことは、勿論良くあります。結果が同じ「許可取得」ならば、安い方が良いのは当たり前ですよね。しかし、会社様にとって建設業許可申請は「取得」が目的ではございません。「許可取得は始まり」なのです。
建設業許可取得後は500万円以上の工事を請け負えるようになることと引き換えに、国の管理下に置かれるという側面があるので、許可取得後事業を営んでいく中で起こる「役員が変わる」「技術者が辞めそうになっている」「業種を追加したい」「公共工事を請けたい…」等など色々な事態に対応していく中で、5年ごとの建設業許可更新申請に備えなければなりません。正直、これらの作業は「建設業許可取得」以上に気を使います。私も10年建設業許可に携わらせて頂く中で、最初のころは正直これらの状況にうまく対応できずにお客様のお叱りを受けたこともありますし、私以外の行政書士に変えて頂いた建設業者さんもいます。そのような失敗を経て、今では将来的に起こりうるであろうお困りごとも、ある程度予測がついたり、先を見据えたアドヴァイスをさせて頂けるようにもなっているので、決して安売りはしておりません。(決してボッタクリの高額報酬では決してございませんが(笑))
一度ご相談がてら、弊所のお話をお聞きいただき、もし納得していただければ、その結果としてご依頼を頂ければと思います。
ご依頼の流れ
ご依頼後の流れにつきましても、下記のようにメールフォームやお電話を誤用しておりますが、そのあとはお客様のご都合に極力お合わせしますので、ご希望をお申し付けください。
メールフォーム若しくはお電話をお願いします!
このページ下にあるメールフォームから、若しくはお電話(070-6467-1285がかかりやすいです)をお願いします。メールの返信、電話の折り返しは12時間以内にさせて頂きます。
電話でのヒアリング
先ずお電話で色々とお聞かせいただければと思います。「(結果的に他の事務所に依頼するとなった場合でも)許可取得依頼を前提としたご相談」でしたら、初回のお電話相談は時間無制限、無料でやらせて頂いております。(ちょっと建設業で判らないから教えて、とか自分で許可取得をするから教えて下さいというご依頼はご遠慮ください)
事務所に伺ってのお打ち合わせ
お電話でご状況を確認させて頂き、少しでも許可取得の可能性があると判断させて頂いた場合は都内及び国分寺近郊の埼玉、神奈川(所沢、川越、川崎、横浜の一部など)でしたら無料で出張相談をさせて頂きます。
お見積りのご提示
伺った内容を基にお見積りを作成させて頂きます。
必要書類のご案内及び業務着手
お見積りにご納得を頂きましたら、必要書類のご案内をさせて頂き当事務所も業務に着手させて頂きます。
着手金のお支払いのお願い
お見積りの事務所報酬の半金+申請手数料(知事許可の場合90,000円)を着手金として頂戴しております。
注)当事務所では伺った内容を基にお見積りのご提示をした段階で、相当の高い確率で許可申請の可否を判断させて頂いており、着手金をご請求させていただ後に「許可が取れなかった」という事案は10年間1度もございません。
ただし、着手金お支払い後にお客様都合で申請を取りやめという場合には(使っていない場合に限り)申請手数料90,000円はご返金させて頂きます。
「実務経験証明の年数のカウント」について行政書士より
経営管理体制の実務経験証明、専任技術者の実務経験証明は本当にお客さま毎に過去の経験も違うし、残っている資料も違います。さらに、申請する自治体ごとに必要な書類の内容、枚数などが違ってくるので本当に気を遣う作業です。当事務所ではお客様からのヒアリングの後に少しでも可能性ありと判断をしたら、該当者の年金記録を取ったり、関連している会社様の東機貿謄本などを取得したりして、該当者の方のご経験を事前に相当調査をしてから申請業務に着手します(事前調査費33、000円は頂戴しますが、この料金は後で正式ご依頼を頂戴した際は報酬に充当させて頂きます)ので、安心して調査後にご依頼を下さい。
また、申請にあたってはどうしても「会社内部の資料(請求書・契約書・決算書など)」を集めて頂かなければならず、その点はご面倒ですが、それ以外の資料(住民票など)の収集から書類の作成、提出迄全てたんげそう行政書士・社会保険労務士事務所で行っておりますので、かかるお手間は最小限化できます。
「俺は長年(建設業の)経験あるんだけど、どうやったら建設業許可取れるのかな?」と思ってらっしゃる業者様のかたは是非一度ご相談ください。他の事務所で「許可取れません」と言われた案件で許可取得した実績も1つや2つではありませんので、何かしらのお役に立てる場合もあるかと思います。