建設業許可申請のご相談の中で、比較的よくいただく質問の一つに「経営業務の管理責任者や専任技術者が出向社員でも大丈夫ですか?」というご質問があります。答えとしては(許可自治体によって、認められ易い、難しいはありますが、基本的に)「(旧)経営業務の管理責任者(以下ケイカン)、専任技術者(以下センギ)ともに基本的には出向社員でも問題はないです」となります。ただしこの場合問題になるのが「当該出向社員の申請会社における常勤性の証明」です。
ケイカン・センギの保険証の会社名が出向元だけど
通常のケイカン・センギの常勤性の証明においては、多くの自治体で「ケイカン・センギの保険証に”建設業許可を申請する会社の名称”の記載があること」を求めております。しかし。。。
「出向」と一口に言ってもこれは労働法上の正式な用語でもなく、形態も様々です。そして多くの場合は基本的に「身分は元の会社にあり、労務を提供するのがあくまでも出向先である」という「在籍出向」という形になっていると思います。(移籍しての出向の場合は保険証も移籍した先(申請会社)に移ると思うので問題になりづらいです)
自治体によって、その取扱い、証明・提示資料の差はございますが、建設業許可申請においての「(ケイカン・センギ)の常勤性の証明」は
在籍出向の場合、(上の図の)出向元Aから出向先Bに出向してる専任技術者Cの健康保険証は「出向元A」の(社名入りの)健康保険証です。このような場合に出向先Bが建設業許可を受けようとする場合、常勤性の証明をどうするか?ということが問題になります。
そして、この場合の常勤性の証明は基本的にはケース・バイ・ケースで東京都などはかなり厳しく複数の証明資料を求め、且つ個別的総合的に判断しております。
以下に東京都で示されている代表的な証明書資料を挙げておきます。
建設業許可申請時における出向社員の常勤性の証明の仕方
1.すでにケイカンセンギとなる社員が出向先で勤務している場合
これは「既存の会社が今在籍している出向社員を経営業務の管理責任者又は、専任技術者にして建設業の許可申請をしよう」とする場合や「すでに建設業許可をもっている会社の経営業務の管理責任者・専任技術者の変更をする場合で旧専任技術者が出向社員である場合」などで、大体以下の資料の提出が求められます。
① 住民票
② 出向契約書
③ 出向先から出向元への請求書、又は振込依頼書など(直近三か月分)
大抵の場合、給与を出向元Aから払っているので、実際に労力の提供を受けている出向先Bから出向元Aへ何らかの支払があります。
④ 健康保険証の写し(これは出向者(上記の図でいうC)が全く別の会社に勤務していないかの確認もあり添付が必須となります
⑤ その他給与台帳や出向先Bから出向元Aへの支払がわかる資料(経理資料(総勘定元帳とか))など
2.これからケイカン・センギとなる出向社員を新たに迎え入れる場合
これは新設会社で建設業の許可を取得する場合や新規で建設業許可申請をする場合、又は経営業務の管理責任者・専任技術者の変更をする場合で新たに出向社員を迎え入れてその職に就かせる場合です。
① 住民票
② 出向契約書
③ 通勤定期
④ その他出向先での勤務を証明できる資料
※ 令和2年より住民票は多くの自治体で添付不要となっております(東京都及び関東地方整備局管轄の国土交通大臣許可も不要です)
出向社員(上図でいうC)の出向先Bでの勤務実態はこれから始まるので、事実上この3点(その他は除く)くらいしかない場合が多数です。そのため「通勤定期」がかなり重要となってきております。
以上、二つの場合に分けてきました、この他にもタイムカードの提示などもあります。そして繰り返しになりますが、上記の資料はどれも単体で「絶対」ということは無く、複数の資料を示すことによって、個別的・総合的に審査されます。
※関東近辺ですと、複数の自治体に営業所を構えて申請する「国土交通大臣許可」や「香奈が県知事許可」は比較的もう少し、「出向社員の常勤性の疎明」が簡単な印象であります。
上記1.2.いずれも場合も「記載されている会社名が出向元のものでも」本人の健康保険証は必須添付の自治体が多いです。念ため用意した方が無難です。
建設業許可における出向社員の取り扱いも多数あります
弊所は建設業許可申請事例における「出向社員の取り扱い」に関しては国土交通大臣許可も東京都知事許可も両方とも多数経験がございます。
そして東京都知事許可は実はあまり「出向社員の常勤性を認める」ということに関しては積極的というわけではないので、新規許可申請の場合は多くの場合は「ケース・バイ・ケース」の事前相談マターとなります。(事前相談した方が確実だと僕は思っております)
事前相談も承りますので、お気軽にご相談下さい。