先月(2020年10月)、御縁を頂きまして初めて「建設業 新潟県知事許可」の申請をさせて頂きました。建設業許可(だけではなく産廃関連もなのですが)は本当に地域によって「ルール・お作法」が違い、勉強になりもの凄くありがたい経験をさせて頂きました。
【事例】新潟県知事許可 一般 とび・土工・コンクリート工事業取得を目指す
【申請者様のご経歴など】
・法人成り後2年弱(2回目の決算期到来は申請直前)
・(旧)経営業務の管理責任者及び専任技術者は社長様
・社長様は学校をご卒業からとび職一筋でご経験はぎりぎり10年と数か月でした
・経営業務の管理責任者→社長様ご自身の自営業時代+法人成り後の経営経験を使う
・専任技術者→社長様ご自身の自営業時代+法人成り後の実務経験を使う
新潟県知事許可の特徴
新潟県知事許可はやはり、東京、神奈川などの関東圏とは全く違い、個人的には「相当ゆるいな…」という印象を持ちました。
建設業許可の申請手引きがない
新潟県庁のHPに所謂「要件」や「必要書類」の一覧表は出ておりますが(PDF化されております)、許可基準や経験・常勤性の裏付け資料を示す所謂「申請の手引き」は存在しません。これにはちょっとびっくりで、地元の書士さんにお伺いをすると必要とされる書類も審査の担当官によって異なるとの事。
実務経験の証明が必ずしも年数分必要ではない
(旧)経営業務の管理責任者や専任技術者の実務経験を示す資料(5年若しくは10年など)が必ずしも「証明したい年数分全てが必要というわけではなく」かつ「証明のために用意する資料も県で統一されてなく、審査担当官マターで決められる」
審査は各地の振興局で行われるので審査基準がまちまち
上記含めて、申請書の記載要領(実務経験証明書と言われる第九号様式や工事経歴書の記載要領など)もまちまちの感があります
今回は新潟県ルールを最大活用
先ずなんといっても「建設業許可申請の手引きが無い」という事が僕はびっくりしました。新潟県知事許可は主たる事務所を管轄する「地域振興局」に審査の権限があり、新潟県知事許可に精通なさっている地元の行政書士先生にお伺いをしたところ、「各地域振興局、もっと言ってしまえばその中の各担当官によって、必要とする書類」が結構異なるという事でした。
申請の手引きのようなものが一切なく「必要書類一覧表」があるだけなので、正直「過去の経験はどうやって示すのだ?正直今回は10年前の証書(請負契約書や請求書類)の収集は結構厳しいな」という状況でした。
しかしですが新潟県知事の特徴の一つである「無許可業者時代(許可なしでの自営業時代)の経験を示すのに必ずしもその年数分の契約書や発注書が必要というわけではない」というルールに助けられました。しかし、このルールに関しては「ラッキー」と思う反面「本当にそれで”許可業務”としてよいのだろうか?」とも思いました。
そこで今回私は次のような手順で申請を進めました(地方案件の場合はほぼこのやり方です)
- お客様からのヒアリング
- 都道府県建設業課HPなどに掲載のある手引きの熟読
- 都道府県の建設業許可ご担当者様に不明事項などを確認
- 色々な自治体の申請をやらせて頂いているので、「引っ掛かりそうなところ」を見極める感度はかなりあると自負しております。
- 上記を踏まえてお客様に必要書類のご案内(先ずは「経験の証明」に関するものを)
- 頂いた資料を基に経営業務の管理責任者及び専任技術者の経験証明資料を固めて県のご担当者様に確認
- 不足資料などをそろえつつ「行ける」と判断出来たら社会保険などの資料のご依頼
- 押印書類のご送付
地方案件をやるときは正直申請した際の失敗が効かないので(一度窓口に行って、受理されずにもう一度・・などはあり得ない)、私は念には念を入れて物凄く細かいことまで確認します。
今回の案件に関しては、正直過去の経験の証明資料で弱い所も多く、「東京近郊の案件だったら許可取得が危なかったかも?」とは思いましたが、県のご担当者様と協議を重ねて、かつ、新潟県のルールも十分に検討したうえで、申請会社様にもお骨折りを頂き資料をそろえて何とか10年実務経験も県から「OK」を頂くことが出来ました(勿論、経営業務の管理責任者の5年の経験はそこに含まれております)
この様に、県の担当者様と当初より細かく打ち合わせ・確認を重ねて、お客様のご協力も頂き無事に許可申請も完了することが出来ました。あとは一か月ほど許可証の到着を待つばかりだと思います。
不慣れな地方案件をやる意義
これで私の申請実績は北は青森から南は九州宮崎まで建設業許可だけで11都道府県になりました♪建設業許可は、申請先の自治体(都道府県)によってルールがかなり違う業種なので、「仕事の効率化」を考えると、東京・千葉・埼玉・神奈川などの関東近県の申請に絞って業務をお受けする方が断然効率的だと思います。ではなぜ地方の案件もお受けするか?というと、それはひとえに「自己研鑽」です。かっこいい言い方のようですが、本当にひとえに自分を、自分の知識を高めるためです。
知らない土地の申請をやると、物凄く勉強になるし、正直初めてのこともあるので、それによって「自分の中の仕事のアンテナ感度」が物凄く良くなることを体感できるからなのです。
しかし、これらは全て「お客様にご迷惑をお掛けせず、地元の先生にご依頼して頂く以上の利益を提供する」が大前提です。そして、決して自己満足に陥らず、全てお客様に還元していくようにしていかねばならないのも当然のことです。
弊所では地方の案件も報酬にプラスアルファもなく、日当も頂かずに「通常料金+交通費」で承っておりますので、「地元で建設業に詳しい行政書士がいない」とお困りの建設業者様は是非一度ご相談下さい。