建設業許可を取るにはどうしたらいいのか?

弊所には「元請けさんから建設業許可取らないと仕事出せない・・」と言われたり、最近では「特定技能外国人を受け入れるために建設業許可必要ななんだけど」というお問い合わせを毎日のように頂きます。しかし、残念ながらお問い合わせのお電話の中から建設業許可取得に至る会社様は正直5割はないと思います。

それでは一体どのような基準を満たせば建設業許可を取れるのでしょうか?

建設業許可の基準とは

建設業許可を取得するためには、さまざま条件をクリア―しなければなりませんが、ここでは重要かつ、証明が難しい「ヒト・モノ・カネ」についてを解説します。

ヒトの基準とは(建設業法第7条)

・建設業の経営に関する責任者(経営管理体制(旧)経営業務の管理責任者:(便宜的にこのページでは)ケイカン)が必要

・建設業の技術に関する責任者(専任技術者:センギ)が必要

※ ケイカンは申請会社の役員であることが必要

※ ケイカン、センギは別々の人でもいいですし、一人二役でも大丈夫です

経営管理体制・経営業務の管理責任者(ケイカン)の基準

  1. 役員として5年以上の建設業の経営の経験を有すること
  2. 権限の委任を受けて経営業務の管理責任者に準ずる地位として5年以上の経験を有する者
  3. 経営業務の管理責任者に準ずる地位として6年以上の建設業の経営業務管理責任者を補助した経験

具体的には、上記1に関しては、

  • 建設業許可を持っている会社での(登記簿に記載されている(いた))役員経験が五年以上ある
  • 建設業許可は持っていないけれど、建設業をやっている会社での(登記簿に記載されている(いた))役員経験が五年以上ある
  • 自営業で建設業を五年以上営んでおり毎年確定申告もしている

等の要件を満たしている必要があります。

では、2と3は?どうなのか?

2と3は令和2年10月の建設業法改正によって新たに設けられた基準です(細かくいうと以前より「準ずる地位」での経営業務の管理責任者も制度的にはありましたが、それを認めていない自治体がかなり多かったので有名無実化しておりました)。

専任技術者(センギ)の基準

・許可を受けようとする建設業に適合した(国家)資格を持っている

⇒ 一般建設業許可有資格者一覧 

⇒ 特定建設業許可有資格者一覧

・許可を受けようとする建設業許可を持っている(持っていた)会社に勤務して、現場経験を10年(学歴によっては5年若しくは3年の場合もあり)を積んだ

・許可を受けようとする建設業許可を持っていない会社に勤務して、現場経験を10年(学歴によっては5年若しくは3年の場合もあり)を積んだ

・自営業で許可を受けようとする建設業の現場経験を10年(学歴によっては5年若しくは3年の場合もあり)を積んだ

ケイカン・センギの常勤の基準

・ケイカン及びセンギは祝日(公休日)を除いて、就業規則通りに、毎日所定時間中、事務所に勤務していることを言います。(例外規定は様々ありますが、センギの方は基本的には現場に行くことも不可となっております)

以上のケイカン・センギの基準(=過去の経験)を満たしていること、又、事務所に常勤していること、それぞれを、全て、(過去の)書面で証明していかなければなりません。

証明のために必要な書類の一例

・(過去の経験が法人の場合)証明期間中の確定申告書

・過去の経験が自営業だった場合:証明期間の確定申告書と建設業に係る請求書と入金確認資料としての通帳(原本)

・証明期間に係る会社の(建設業に係る)注文書(原本)・契約書(原本)・請求書と入金確認資料としての通帳(原本)

・証明期間に実際に会社に勤務していたことの証明としての「年金記録(被保険者記録照会回答表)」

・常勤性の証明としての(会社名の入った)健康保険証

・常勤性の証明としての住民票

以上が代表的な書面であり、これは以外にも申請自体によっては「発注証明書」が必要だったり、「確定申告書は不要」という所だったり、本当に、ご経歴によっても、申請自治体によっても千差万別となっております。

モノの基準とは(建設業法第7条)

・基本的には「独立性を有する事務所」が必要になります。

・「独立性」の解釈が申請自治体によって様々ですが、「他社同居」や「社長の自宅の一室が事務所」という場合は注意が必要です。

モノの基準証明に必要な書類など

・自宅事務所の写真(建物全景から⇒入口⇒廊下⇒事務所の入り口⇒事務所内観(色々な角度から複数枚))

・建物謄本、賃貸借契約書等(事務所の使用権原が解るもの)

以上が、代表的な証明書類になりますが、神奈川県等は社長の自宅の一室を事務所にしている場合などは「申立書」というものを求めていたり、岡山県等では「事務所調査」と言って、職員の方が事務所に来ることもあったりし、こちらも申請自治体によって千差万別となります。

カネの基準とは(建設業法第7条)

お金の基準は「一般建設業許可」と「特定建設業許可」で大きく違います。

一般建設業許可のお金の基準

・自己資本が500万円以上ある(申請日直近の確定した決算書の貸借対照表において、純資産の額が500万円以上あること)

・500万円以上の資金調達能力があること(500万円以上の残高証明書(基本的に許可申請日から一か月以内に発行されたもの))

・直前5年間、建設業許可を継続している

(決算期未到来の新設法人の場合は資本金の額が500万円以上であること)

以上のどれかを満たしていることが必要です。(これも各自治体によって異なります)

特定建設業許可のお金の基準

建設業許可は必ず必要なのか?

建設業者さんが「建設工事を請け負う」場合にはどんな工事でも、「建設業許可」が必要かというと、決してそのようなことはございません。

建設業許可が必要な工事

「建設業許可制度」を定めている「建設業法」によると下記のようになっております。つまり、建築一式工事以外の工事でしたら(消費税・材料費込みで)500万円以下、建築一式工事でしたら1,500万円以下の工事でしたら、「軽微な工事」されており、建設業許可がなくても、請け負うことは可能です。

―建設業法第3条―

建設業を営もうとする者は、下表に掲げる工事(軽微な工事)を除き、全ての許可の対象となり、29種の建設業の種類(業種)ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならい。

建築一式工事以外の建設工事 1件の請負代金が500万円未満の工事(消費税を含んだ金額)
建築一式工事で右のいずれかに該当するもの (1)1件の請負代金が1,500万円未満の工事(消費税を含んだ額)
(2)請負代金の金額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず業種が「建築一式工事」かどうかを考えてみる

建築一式工事だけ、境界となる金額が異なるため、まず「建築一式工事」がどのようなものかを明確にし、自社の営む工事が(自社の取りたい建設業が)何業に該当するかを、明確にする必要があります。

《建築一式工事:原則として「元請業者の立場」で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請け業者によって施工される大規模かつ複雑な工事》

とされております。(この解釈・考え方は各許可自治体によってまちまちですが、厳しいとされる東京都知事許可の場合の「建築一式工事業」の考え方は

「建築確認を必要とする、新築及び増改築」とされております。

例えば、内装業者様で、よく居抜きの店舗改装などをなさっていらっしゃる会社様などは、実質なさっていることは、「クロス貼りなどの内装工事」「大工工事」「配管工事」~「電気工事」など、複数の専門業種をそれぞれの専門の下請け業者に発注して、総合的に企画、指導、調整している場合も多く、これを以て、「建築一式工事」とみる自治体もあると思いますが、東京都では多分(相当の確率で)「内装仕上げ工事業」とされます。

このように、「一式」となっておりますから、「色々総合的に工事をしていれば」一式工事!と思われたり、「一式」だから「どんな工事も含んでいる」」と思われがちですが、逆に「建築一式工事」というのはかなり絞られます。つまり、たいていの建設業者様は「建築一式工事」は、なさらない(することが出来ない)ので、他の27業種(「土木一式工事」も同様に絞られますから29業種からはずします)のどれかに当てはまる工事をなさっているのです。(※業種の判断はかなり難しいところもあるので、ケースバイケースとなることが多いです。判断に迷うようでしたら直接当事務所又は、都道府県の建設業課にお問い合わせください)

建築一式工事とは何かを明確にすると解るのことが、たいていは「500万円以上の工事をするか?しないか?が、建設業許可・要不要の判断の分かれ目になる」ということです。

500万円以上の工事をする(請負う)場合は必ず「建設業許可」を取得しなければなりません!

 工事契約を分割してしまう場合

よくあるご質問なのですが比較的大きな工事で契約を細目ごとに分割して一つ一つの契約金額を(消費税込み)500万円以下に抑えた場合はどうなるでしょうか。

この場合、「一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額」となります。これは、法律で定めれられております(政令第1条の2の2項)。

建設業許可不要の工事の特例

そもそも「建設業」とは「その工事の完成を約束して請け負う、民法でいうところの”請負契約”」であると建設業法で定められております。つまり、「完成を約束していない」「自社物件の工事」や「建売住宅の建設(完成した建物をうっているので宅地建物取引免許は必要です)」などは「建設業法」の適用外となるため、これらの工事をする場合に「建設業許可」は不要です。

500万円以下の工事しかしない場合

ここ迄書いてきたように、500万円以下の工事は基本的に「軽微な工事」に当たるため、「建設業許可」を取得していなくても工事可能です。しかし、昨今の建設業界の流れからすると「元請け業者さんの信用度確保」やCSRの強化のためから、「当社は建設業許可を持っている会社にしか発注しません」という元請け業者さんが非常に多いのが実情です。

ビジネスチャンスの拡大、自社の信用度のアップのためにも建設業許可はぜひとも取得しておきたい許可となっております。

⇒ (注)建設業許可が不要な工事について

 

無料相談のご案内
  • メールでのご相談は24時間承っております。お急ぎの建設業者様のため、原則、12時間以内に返信いたします。

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    電話番号(必須)

    ご希望の連絡方法(必須)
    メールにご連絡お電話にご連絡どちらでも可

    出張相談またはオンライン相談を予約される方は、希望日時をご選択ください。
    ※カレンダーのアイコンをクリックすると日付が選べます。

    ご相談日時(第一希望)
    希望時間:

    ご相談日時(第二希望)
    希望時間:

    ご相談日時(第三希望)
    希望時間:

    出張相談の場所(貴社所在地、または「オンライン」など)

    ※第三希望まで先約が入っている場合は、こちらから新たな日時をご提案させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

    ご相談内容

    ページトップへ戻る