東京都での建設業許可取得徹底解説


東京都で建設業許可を取得することは、関東一都六県の中では1番厳しいと思っていらっしゃる行政書士の先生は割と多い思います。その様に建設業許可を東京都知事許可で取得するのは難しい(というより手間がかかるという方が正しいかもですが)東京都知事許可ですが、「要件」が揃っていれば、後は丁寧に過去資料を集めれば必ず許可取得に近づけます。

ここでは東京都での建設業許可取得をお考えの皆様に「許可取得に向けた徹底解説」をさせて頂きます。

東京の建設業者様で特に以下のようなお悩みの有る方は是非ご一読頂ければと思います。

  • 東京都内に営業所があって「今すぐにでも建設業許可をとりたい」
  • 東京都内に営業所があって将来的に建設業許可を取りたいのですが、今から準備することがあればそれを知りたい。
  • 500万円以上の金額の工事を請け負いたい
  • 元請けさんから「急いで建設業許可を取るように」と言われた
  • 銀行から融資を受けようとしたら「建設業許可は持っていますか?」と聞かれて困った…

東京都で建設業許可を取るとこんなメリットがあります!

建設業者さんが建設業許可を得ることにはご存知かと思いますが以下のようなメリットがあります

  • 請負金額が500万円以上の工事の受注ができます!
  • 元請け業者さんの信頼を得られます
  • お客様からの信頼がえられます!
  • 銀行からの融資を得られやすくなります!

東京都での建設業許可取得ステップ・バイ・ステップ

東京都で建設業許可を取得する際の手順以下の様になります

内容 備考
先ず当ホームページの問合せフォーム若しくはお電話でお問い合わせください
お電話などで先ずはいくつか要点を確認させて下さい
国分寺駅近くのカフェ若しくは貴社でのご面談 お伺いする場合は相談料を頂戴する場合もあります
建設業許可取得の要件(主に経営の責任者と技術者の要件を確認するための必要書類のご案内
上記資料の収集 お客様
お客様に集めて頂いた資料の確認・検討
改めて必要書類のご案内 お見積りのご提示
必要書類の収集及び送付 お客様
申請書類の作成 お見積りに基づき着手金のご請求
着手金のお振込み
都庁への申請
都庁で申請書受理後約4週間弱で許可証がお客様のお手元に届きます

東京都知事許可の建設業許可取得において最大の課題は「経営の責任者」と「技術の責任者」の選任です

建設業許可取得に関しては「人・もの・カネ」等に色々な条件が設けられておりますが(この条件のことを「要件」と言います)、「建設業許可を断念する原因」はほぼほぼ「経営の責任者」「技術の責任者」等の「人」の要件を満たせないために断念をするケースとなっております。

つまり、「人」の要件さえクリア出来れば建設業許可取得がグッと近づきますので、先ずは「経営の責任者」と「技術の責任者」はどのような方がなれるのか?をご説明します。

★ 「経営の責任者」と「技術の責任者」は別個の人でも構わないですし、一人二役でも大丈夫です(ただし「経営の責任者」は申請会社の登記簿謄本上の役員様であることが必須)

経営の責任者はどのような人がなれるの?

※ 細かい規定はたくさんありますが、ここでは先ずざっくりと判断基準となるよう概要だけ書きます

  1. 建設業許可をとりたい会社の取締役であること(登記簿謄本でお名前が確認出来ること。代表取締役である必要はありません)
  2. 建設業許可をとりたい会社に常勤していること≒建設業許可をとりたい会社の名前の入った保険証を持っていること(75歳以上の場合は除く)
  3. 「建設業許可を持っている(持っていた)会社」での取締役経験が5年以上あること
  4. 「建設業を営んでいる(営んでいた)会社」での取締役経験が5年以上あること

上記の1.2.と3.若しくは4.を満たした方が「経営の責任者」となれます。

※「3.」と「4.」はどちらか一方でも勿論構いません。そして、現行の制度では「3.」と「4.」に関しては他の条件でいい場合もありますが、その条件を使える会社様が実質的に相当少ない(かなりの規模感を持った大きな会社様に限られる)のでここでは割愛します。

※「3.」と「4.」に関しては該当者様が「過去に勤務していた会社」でも大丈夫です。(ただし、その勤務の事実は登記簿謄本で勿論確認されます)

技術の責任者はどのような人がなれるの?

※ 細かい規定はたくさんありますが、ここでは先ずざっくりと判断基準となるよう概要だけ書きます

  1. 申請会社の保険証を持っている方(取締役である必要はありません。勿論取締役でも可)
  2. 取得を希望する建設業の業種に適合する資格を持っている方(例えば内装業なら一級(二級)建築士、電気工事業なら第一種(条件付きで第二種)電気工事士)
  3. 取得を希望する建設業の業種に関して10年以上の実務経験があること(取得を希望する建設業種の許可を受けていた会社に10年以上の勤務実績がある)
  4. 取得を希望する建設業の業種に関して10年以上の実務経験があること(取得を希望する建設業種の許可を持っていない会社に10年以上の勤務実績がある)

Ⅰ.は必須でⅡ.若しくはⅢ.(Ⅳ.)の条件を満たす人が会社にいらっしゃれば建設業許可取得がグッと近づきます。

「経験」の有る・無しはどうやって証明するのでしょうか?

上記の「3.」、「4.」若しくは「Ⅲ.」「Ⅳ.」にある「5年以上の経験」や「10年以上の実務経験」は一体どうやって証明するのでしょうか?この証明の仕方が東京都知事許可を難儀なものにしている最大の原因なので詳しくご説明します。

上記「3.」若しくは「Ⅲ.」の場合の経験の証明方法

「3.」と「Ⅲ.」に共通するのは「(許可を希望する業種を含めた)建設業許可」を持っている(持っていた)会社での勤務経験があることです。この場合は必ず、経験を積んだ会社(許可を持っていた会社)の許可の情況を許可行政庁に確認するなどしてクリアにして置くことが先決です。

絶対に「許可は持っていたよー」というような「人間の記憶」に頼るのは避けるべきで、行政庁の裏付けある確認を取って下さい。

経験を積んだ会社の過去の許可証(5年分若しくは10年分)があれば、ベストですが、そのようなものを持っている場合はごくまれなので、この過去の許可状況の確認は必ず丁寧にやっておく必要があります。

その上で、

① 経営の責任者の方がキチンと5年以上許可を持っていた会社に取締役として登記されていたかを「登記簿謄本(履歴事項全部証明書若しくは併催事項証明書)」で確認をする。勿論「役員をしていた期間」が「建設業許可を持っていた期間」に含まれていることも必須です。

② 技術の責任者が経験を証明する会社に勤務していたことを「年金記録(被保険者記録照会回答票」で証明する。但し、経験を証明する会社が「今回の許可申請会社」である場合は技術者の方の保険証でもOKです。(許可取得日が記載されているので。)

上記「4.」若しくは「Ⅳ.」の場合の経験の証明方法

「4.」と「Ⅳ.」に共通するのは「経験を積んだ会社には(希望する業種を含めた)建設業許可が無かった」という事です。(ただし、勿論「建設業許可が不要な範囲」で建設業を営んでいました)

この場合は「建設業を営んでいたことを証明する資料」として下記のA、B、Cのいずれかが必要になります。

(※ A or B or Cです。下述する期間分の中でABCのミックスでも大丈夫です。)

A 建設業を請け負ったことが証明できる契約書

B 建設業を請け負ったことが証明できる注文書(+注文請書)

C 建設業を請け負ったことが証明できる請求書+入金確認資料としての預金通帳のコピー

注意点1:経営の責任者に対する証明としてはABCの記載内容から「なんでもいいので”工事”をしていたこと(建設業を請け負っていたこと)」が解れば大丈夫ですが、技術の責任者に対する証明資料としては、その記載内容から「希望する建設業の業種に関する工事を請け負っていたこと」が読み取れることが必須です。

事例で説明)例えば内装工事を請け負った場合の契約書の記載が「改修工事」としていた場合はどうなるか?

経営の責任者の経験を証明する資料としては有効です。

技術の責任者(内装工事の技術者)の経験を証明する資料としては不可です。

「改修工事」としただけでは、「建設業を請け負ったこと」は判る(認めてもらえる)のですが、「工事の内容が内装かどうかが不明」なので、「内装工事をやっていたことを証明する資料」としては不可となります。

A、B若しくはCをどの位の量揃えればいいのか?

基本的にはですが

「経営の責任者の5年間の実務経験」の場合は12か月×5年分+2~3か月分≒62~63か月分

「技術の責任者の10年実務経験」の場合は12か月×10年分+2~3か月≒122か月~123か月分

の契約書や注文書、請求書(+通帳コピー)を集めた方が良いです。

※ 12か月は「例えばですが」1月~12月迄の12か月です

※「5年間」「10年間」の計算の始点終点は「注文書」「請求書」の日付になるので注意が必要です

一例ですが「最初の請求書が令和6年1月31日」で「最後の請求書が令和11年12月28日」の場合は「5年間」とはカウントしてくれません4と11か月とカウントされることに注意が必要です。

※ 東京都では令和5年の秋以降、必要書類(収集書類)の緩和で下図の枚数で良くなっておりますが、これの枚数ギリギリだとかなり厳しい状況が出てくるので、収集の作業が大変ですが、当事務所では極力「12か月×5年分+2~3か月分」若しくは「12か月×10年分+2~3か月」を揃えて頂くようにしております。これは下図のようなギリギリの枚数を揃えて頂いて、頂いた書類が記載内容などから「経験として認められない」と言った場合に再度の収集作業をお願いする二度手間を防ぐ意味でもお願いをしております。

 

( 画像は東京都の建設業許可手引きからの抜粋。クリックすると別ウィンドで開きます)

ここまでが東京都で建設業許可を取得するためには本当に重要です。ここまでの要件(資料)が揃えば、許可取得までもう一歩です。

経営の責任者及び技術の責任者になるための経験を積んだ会社が過去に勤務していた会社の場合に必要な資料

経営の責任者に必要な経験を積んだ会社が過去に勤務していた会社の場合 ➡ 経験を積んだ会社の登記簿謄本(現在事項全部証明書、閉鎖事項証明書)

技術の責任者に必要な経験を積んだ会社が過去に勤務していた会社の場合 ➡ 年金記録(年金記録照会回答票)

※年金記録照会回答票(原本)→皆様のお手元に届いていると思われる「年金記録」と同じ内容の書面になりますが、その書面では東京都は認めてくれないので、年金事務所で発行してもらったものを必ず用意してください。委任状があればだれでも取得が可能ですし、基本的に日本全国どこの年金事務所でも取得が可能です。(ただし、取得する方の基礎年金番号、生年月日などが解っていることは必要です)

東京都内の年金事務所一覧

千代田年金事務所 世田谷年金事務所
中央年金事務所 池袋年金事務所
港年金事務所 北年金事務所
新宿年金事務所 板橋年金事務所
杉並年金事務所 練馬年金事務所
中野年金事務所 足立年金事務所
上野年金事務所 荒川年金事務所
文京年金事務所 葛飾年金事務所
墨田年金事務所 立川年金事務所
江東年金事務所 青梅年金事務所
江戸川年金事務所 八王子年金事務所
品川年金事務所 武蔵野年金事務所
大田年金事務所 府中年金事務所
渋谷年金事務所 取得なさりたい方の氏名・ご住所・お電話番号・基礎年金番号などを記載した取得申請用紙を記入します。会社の方など第三者が取得することも可能ですが、その場合はご本人からの委任状が必要です。
目黒年金事務所

財産的基礎について

建設業を営むということは少なからず社会的責任を負います(他の事業でも同じなのですが・・)。そのために、「請け負った工事をしっかりと最後まで出来るか?」若しくは「発注した(雇った)下請け業者さんを保護できるか?」という観点から財産要件が設けられております。

許可申請時に必要な書面

一般建設業許可の場合

申請時前直近の決算期の純資産の額が500万円以上の場合は特に不要(申請書に添付する建設業財務諸表でOK)

申請時前直近の決算期の純資産の額が500万円未満の場合および、決算期未到来の時期に建設業許可申請をする場合で資本金の額が500万円未満の場合 ➡ 申請時前1か月以内に発行された「500万円以上残高があることが証明できる残高証明書」

※ 残高証明書は必ずお取引銀行で発行してもらったものです。通帳のコピーなどは不可です。

特定建設業許可の場合

申請書に添付する建設業財務諸表で「特定建設業許可の財産要件」を確認します。

一般建設業許可の財産要件

  1. 自己資本が500万円以上あること
  2. 500万円以上の資金調達能力があること
  3. 直前5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在東京都知事許可を有していること

以上の3点となり、その証明方法は東京都知事許可の場合

・直近の決算における貸借対照表上の純資産の額が500万円以上あること。

・申請日前一か月以内に(銀行で)発行された残高証明書が500万円以上であること

・新設法人でまだ決算期を迎えていない場合は登記簿謄本に記載された資本金の額が500万円以上であること

のうちどれか1つを満たせばOKです。

3については「更新申請」の時の基準です

(注)一番最初の更新申請は、実務的に申請書提出するのは許可が切れる前=許可後5年経っていないから3の基準を満たしていないようにも読めますが、そこは大丈夫です。4年と10か月?とかの営業実績で大丈夫です。)

(注)他県知事許可から東京都知事許可へ許可を移す、いわゆる「許可替え新規申請」の時は3は使えません(「現在東京都知事許可を持っていない」から)。1若しくは2の要件を備えていることが必要です。

特定建設業許可の要件

特定建設業許可については、下請業者保護の観点から厳しい財産的要件が定められております。

  1. 欠損比率が20%以下
  2. 流動比率が75%以上
  3. 資本金額が2,000万円以上
  4. 自己資本の額が4,000万円以上

となっており、a~d全てを満たしている必要があります。

a~dの詳細は以下の様になっております。

a.欠損比率=繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金)/資本金×100

となります。(難しい計算式に基本的に繰越利益剰余金があれば(プラスならば)この項目はクリアーです)

b.流動比率=流動資産/流動負債×100

c.資本金≧2,000万円はそのままです

d.純資産(貸借対照表にある項目です)≧4,000万円もそのままです。

新設会社で特定の建設業許可を取得する場合は資本金を4,000万円にすれば開始貸借対照表で上記の要件を満たすので東京都では認めてもらえます。

営業所に関して:独立した事務所を持っていること

営業所に関してはこちらのページもご一読をお願いいたします→

請負契約書の名義はどうすればいいか?(建設業許可の営業所)

建設業許可における「営業所」とは「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とされております。

営業所という言葉の定義は至極当たり前の内容なのですが、東京都で建設業許可を取ろうとする場合は、実体としての「営業所」に少々のハードルがあります。東京都の建設業許可手引きに沿って、実践を踏まえて具体的に解説いたします。

外部から来客を迎え入れて、建設工事の請負契約締結等の実態的な業務を行っていること

例えばですが、社長一人でなさっている建設会社の営業所にある備品が「事務机×1、椅子×1のみ」とした場合はどうでしょうか?正直東京都で建設業許可を取ろうとする場合はこれでは認められません。なぜなら「来客を向か入れること」が出来ないからです。

何も立派な応接スペースを用意しろという事ではないですが、きちんと事務机のほかに、もう一つ(商談)机と社員数+1~2の数の椅子がある方がベターです。

電話、机、各種事務台帳などを備えていること

東京都ではまだ許可委申請時記載する電話番号(登録する電話番号)として携帯電話を認めていないので、固定電話の設置は必須です(古臭いようですが、やむをえません)。そして、コピー機(複合機)の設置も(ほぼ)必須と思って頂いた方がよいと思います。(eFAXなどPCに転送という手法もありますが)

※ 固定電話設置は必須ですが市外局番が03や042などでなく050とかでも大丈夫です。

独立性が保たれていること

これが一番重要かつ、申請時にひっかかりやすいポイントになります。

色々な事務所が入居しているオフィスビルなどの一室を自社で借りて、自社だけで使用していれば何の問題もございません。ただ、他社(関連会社等含む)の事務所と同じフロア・部屋の一角を借りている場合は要注意です。

また、個人事業主で許可を取った場合で自宅事務所の場合も面倒です。

下図のように玄関を入ってリビングを通っていくような一室を営業所とするのこと現在の東京都の許可基準では不可となります(7-8年前までは大丈夫だったのですが、とある時から突然といった感じで不可となっております・・)

ただし、玄関から家族との共有スペースを通らずに2階に上がれて、そこの1室を使用するような下図の場合は申請可となっております。

適切な社会保険に加入していること

以前は東京都では社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の加入は必須とはされておりませんでしたが、令和2年10月の建設業法改正により、社会保険の加入は許可要件となっております。

※ 役員様のみに法人の場合は雇用保険の加入が「適用除外」となるため加入していなくても可

※ 健康保険は土建国保の健康保険でも可(ただしこの場合、許可申請書上は”加入”とはならずに”適用除外”となります(勿論適用除外でも建設業許可申請は可能です))

東京都

東京都建設業許可取得徹底サポート

弊所では建設業・東京都知事許可取得のフルサポートをさせて頂いております。お客様にお願いをする事項は下記の3(5)点です。

  • (事前のヒアリング)
  • お客様の書棚・倉庫にある過去の契約書・請求書・決算書・預金通帳などの収集
  • 書類への押印
  • 経営の責任者(適正な経営業務体制)のご経歴書へのご記入
  • (場合によっては会社・技術者の方などの印鑑証明書の取得)

上記以外の例えば住民票や会社登記簿謄本の取得や書類の作成、事前の役所との折衝などは全て弊所で行っており、お客様のお手間は可能な限り省きつつ、長年培ってきたノウハウでお客様の許可取得のお手伝いをさせて頂きます。

 

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