お客様のから頂くご質問で多いのが下記のような建設工事の請負契約(見積でもいいのですが)を締結する際の「名義」の問題があります。
「当社は東京本社と大阪支社で建設業許可を取得しているんだけど、名古屋の工事をやるのに名古屋支店で契約しても大丈夫でしょうか?(名古屋支支店長名義で契約しても大丈夫でしょうか?)」
このご質問は特に大臣許可を持っているような「全国に営業所がある」会社様に多いです。
そこでまず「建設業許可における営業所」とは以下の様に定義することができます。
建設業許可における営業所
営業所とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約の見積、入札、契約の締結を行う事務所等、建設業に係る営業に実質的に関与するものをいいます。(国土交通省発行「建設業許可事務ガイドライン」より)
この定義により、逆に「建設業許可を得ている営業所」以外での請負契約の見積、入札、契約の締結行為は出来ないとされております。工事の発注もできません。たまにですが、経営事項審査をする際にお客様の契約書や注文書をお預かりすると、どなたも知っているよな企業さまからの契約書(発注書)で許可を持っていない営業所名義のものが見られます(契約名義が「株式会社 上場工業 許可無し営業所 所長〇〇となっている)。この注文書の発行・契約書の締結は建設業法違反となります。
例えばですが
A社東京(主たる営業所)、大阪営業所(従たる営業所)、名古屋(従たる営業所):「建築一式工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル工事業、鋼構造物工事業、内装仕上工事業
A社仙台支店:従たる営業所となっていない
この場合、取得済の6業種に関する、見積の発行、請負契約の締結、その他発注行為は東京、大阪、名古屋の営業所でしかできません。それ以外の例えば、管工事に関する軽微な工事(500万円未満の工事)は仙台支店においても見積りも請負契約締結も、発注も可能です。
全国的にお仕事をなさっている会社さまほど、「許可を持っている営業所だけで(請負)契約行為をするのは難しい」という現状は重々理解できますが、「建設業許可を取得して、建設業を営む」ということはこの様な一定のルールの下で(法律の下で)仕事をしていくということになることはご理解頂かないといけません。
そして、この点も踏まえて建設業法の管理下に入るということが、建設業許可取得の最大のデメリットであると私は考えております。
コンプライアンスを重視したい会社様のご相談もお受けします
弊所では、業界歴10年になる豊富な経験から許可取得にとどまらず、建設業者様のさまざまな法律の運用・解釈のご相談も承っておりますので、ぜひ建設業法(及びその周辺法令・業務)に関して疑問などございましたらご相談下さい。