建設業の許可を持っている会社において、何らかの理由で専任技術者の交代をしようとする際に一番注意をしなければいけないのが、「専任技術者が在職していない日を1日も作らない」ということです。
更にもっと言ってしまうと、「一回建設業許可を取得をすると、そのあとの”維持”に無頓着。経営の責任者でも専任の技術者でも会社の事情で(割と)簡単にやめさせてしまう」ということが本当に多いです。
しかし、何回も言いますが「建設業許可会社においては専任技術者が会社に在籍しなくなった瞬間に許可取り消し」になります。
建設業許可における専任技術者の交代
【事例1】
前任の専任技術者の退社(退任、死亡も含みます):3月30日
新任の専任技術者の入社:4月1日
【事例2】
前任の専任技術者の退社(退任、死亡も含みます):3月31日
新任の専任技術者の入社:4月1日
以上の2例でいうと、事例1は許可の取り消しで、事例は許可の維持が可能です。
建設業の許可においては専任技術者が会社に在勤しているということが絶対ですので、実質上は前任の専任技術者と後任の専任技術者の在職期間が重なっていても、書面上(たとえば社会保険の離職日など)前任の専任技術者と後任の専任技術者の在職期間が1日でも谷間があるとすぐ許可が取り消しとなってしまいます。
そしてこれは経営業務の管理責任者の場合も同じです。1日でも経営業務の管理責任者が在職しない日があると許可の取り消しとなってしまいます。
専任技術者交代で必要な書類
専任技術者証明書(前・後任者両名分)
常勤を証明するもの(前・後任者両名分)
もし会社が(自社名の入った保険証のある)社会保険に加入しているようでしたら、前・後任者両名分の保険証のコピーが必要です。これによって交代の日が両者が必ず在職していたということが証明できるのです。
資格証明書または経験を証明する証書(後任者の分)
1級建築士から2級建築士への交代の場合
前提① 従前は1級建築士が専任技術者
前提② その資格を活かして「特定」で建設業の許可をもっていた
前提③ 1級建築士が退職→後任の専任技術者は2級建築士
このような場合はどうなるでしょうか?1級建築士から2級建築士への専任技術者の交代なので「専任技術者の変更届け」で大丈夫なように思えますが、実はこれは「業種の追加」という届出をしなければならないのです。2級建築士の資格では「特定」の建設業許可が受けられないからです。
(「業種の追加」の前に1級建築士の資格で取得した特定建設業の業種については「廃業」の届出を出します)
「業種の追加」という届出は、「専任技術者の変更届」と違って、提出する書類・証明資料などすべて、新規の建設業の許可申請と変わりません。登録申請料も50,000円かかります。
もちろん専任技術者が「1級電気工事施工管理技師」から「給水装置工事主任技術者」などになった場合は当然業種追加ということになります。