ケイカン・センギが会社の健康保険証を持っていない!建設業許可の専任技術者等が後期高齢者の場合どうする?

ここ数年関与先で実際に問題になっていたり、お問合せが多くなっている「お困りごと」の一つが「ケイカン(令和4年現在経営業務の管理責任者は廃止されておりますがあえて”ケイカン”を使わせて頂きます)・センギが後期高齢者なので会社名の記載されている保険証を持っていない(持たなくなった)ので常勤性の証明をどうしようか?」という問題です。

この問題について当ページで解決方法を解説させて頂きます。

当たり前ですが名義貸しは出来ません

先ず、大前提のお話をさせて頂きます。

建設業の許可では、経営業務管理体制(旧経営業務の管理責任者)と専任の技術者に対して「常勤性」というものを厳しく求めております。そのことは「許可の要件」としては有名で、建設業許可の取得をお考えの皆様におかれましては重々承知なさっていらっしゃる方が多いのですが、そのうえで、「先生、名前だけ貸してくれるって人が(技術者が)いるんだけど大丈夫だよね?」と聞いてくる方がいまだに多いです。正直、令和時代の建設業許可申請では無理です!無理というより、そもそも違法行為なので申請できません。

(常勤性の詳しい説明などは、こちらのページもご参考にしてください。

「常勤性の確認資料」

技術の責任者、(旧)経営の責任者が後期高齢者の場合

それでは、ケイカン・(旧)センギが75歳以上で「常勤性の証明に必要な会社名入りの健康保険証が強制的に後期高齢者用になっている場合はどうしましょうか?

このようなお問い合わせが増えるのは、高齢化社会でかつ、今は75歳でもお元気な方多いので、当然といえば当然ですね。加えて建設業界は慢性の人手不足なので、技術者の方やケイカンの要件を満たした方は”貴重”なので75歳以上の方でも重要な戦力です。

しかし、こと建設業許可申請に於いて、「お持ちの健康保険証に申請会社の名前がない」ということは、「常勤性の照明に於いて」かなりのネックになります。しかし、行政庁としても、現実としての「高齢化社会」は理解しているので、「後期高齢者の経営業務の管理責任者(ケイカン)・専任技術者(センギ)は受け入れる方向」であると思っております。

この場合、取るべき手段は下記の3つが考えられます。(東京都基準ではありますが、これ以外には「直近の標準報酬決定通知書」くらいしか実際はないのかもしれません)

※ ただし、最近の私の実務からの経験によると実質的にはもうほぼほぼ①の住民税特別徴収税額通知書か③の「前期の決算書にある役員報酬の内訳」が最有力です。

①を使いたい場合で「これから入社をさせる場合(≒今は会社には~税額通知書はない)」でもケイカン・センギ様のお住いの市区町村の住民税の担当窓口に行ってもらって、「特別徴収への切り替え手続き」をしてもらってください。

① 住民税特別徴収税額通知書の原本提示

もし、住民税を特別徴収していない場合は、特別徴収を無理やりにでもする(年金をもらっていらっしゃると、住民税が年金から天引きなので、特別徴収そのもの出来ない自治体も多いようですし、また、既にその年度の住民税を全額納めてしまっていて残額が無い場合も自治体によっては「特別徴収の申請自体を受け付けません」という自治体もあるようです。しかし、どちらの場合もお住いの市区町村の窓口で「建設業の許可申請でどうしても・・・」というと、便宜を図って頂ける場合もあるようです。)

② 通勤定期・業務日報・給料の支給明細及び振込明細と所得税の納付の証書etc.etc.をなるべく多く集め、添付して申請する。

③ 以前(前期)より、申請会社にお勤めで、かつ、そのケイカン・センギにおなりになる方が「役員」なら前期決算書の「役員報酬の内訳(原本)」を提示する。(但し、不当に安い役員報酬(例:80万円/年など)は不可です。

④ これは「予防策・次善の策」という事になるかもしれませんが、「きちんと毎日業務日報を付けておく」という手もあります。ただし、これは技術の責任者で役員ではない人のみに適用できる証明方法とも言えます。経営管理体制として登録される方は「役員」なので、「役員」が業務日報を付けるかというと……。つけていけないというルールはありませんが、現実的ではないかもしれません。

しかし、どれも絶対ではなく、状況もケースバイケースで、判断も自治体ごとによってことなります。

たんげそう行政書士・社会保険労務士事務所では、行政庁と折衝をしてお客様のご状況を踏まえたうえで、上記の書類の中からいくつかをチョイスして許可申請等をさせて頂いておりますし、既存のお客様の中で、経営の責任者、技術の責任者が後期高齢者におなり会社がある場合は「今年の誕生日を迎えると貴社の技術者様が後期高齢者になるのでご注意ください」とお伝えしております(日報つけてください!等含めてです)

ケイカン・センギの方が出向者の場合

「ケイカン・センギ候補の方が申請会社の名前の入っている保険証をもっていない場合(他社の名前の入った保険証をもっている場合)」で唯一考えられるのが、「ケイカン・センギが出向者の場合」のみです。

それ以外でケイカン・センギが申請会社の名前の入った保険証を持っていない場合で、許可申請が可能となる場合は現行の制度では先ず考えられません。(一部土建国保は除く)

ケイカン・センギが出向者の場合の常勤性の証明資料

 

後期高齢者をケイカン・センギに迎える場合は事前にご相談下さい

現行の労働法規ですと、一度人を雇ったらなかなか解雇は出来ません。又、役員に迎え入れた場合だと、登記をしなければならないので、もしケイカン・センギになれないからといって、即退任させると、「就任」と「退任」の履歴はばっちり残ることになり「登記簿謄本に傷がつき」ます。

そこで、後期高齢者の方を雇い入れて(若しくは役員に就任させて)、経営業務の管理責任者若しくは専任技術者として、建設業許可申請をしようとお考えの場合は是非、専門家に事前の確認をした方がベターです。

たんげそう行政書士・社会保険労務士事務所の関与先様には「かならず、雇入れの前にその該当者の方のご経歴を確認させて下さい」とお願いをしております。

知らずにケイカンを辞めさせた!ケイカンが高齢でもう当社の保険証をもってない!

このようなことでお悩みの業者さんは一度ご相談を頂ければと思います。

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